kokoro-otoのブログ

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納棺師(おくりびと)の仕事内容は?資格は必要?専門学校の費用は?

こんにちは!

田舎の葬儀屋です。

 

今回は、葬儀に関連する仕事のひとつ

納棺師についてまとめます。

 

映画「おくりびと」の影響で

納棺師になりたいという人が増えているとのこと。

 

納棺師の仕事内容や

納棺師になるにはどうしたらいいのか…

資格が必要なのか?

専門学校で資格を取得する為にかかる費用などを

まとめています。

納棺師の仕事内容は?

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まず、納棺師の仕事について

きちんと理解しておいてください。

 

葬儀に関わる仕事は沢山ありますが

その中でも納棺師は、ご遺体に接する時間が最も長い職種です。

 

葬儀社によって違うので

納棺師の仕事が、どこからどこまでを指すのか

一概には言えません。

 

例として、私が以前勤めていた葬儀社のケースでお話しします。

 

私が勤務していた頃、納棺は担当者

つまり、葬祭ディレクターの仕事でした。

 

そこに湯灌師(ゆかんし)という、専門の業者さんが入ってきました。

 

当時、まだ湯灌(ゆかん)は一般的ではなかったのですが

長期間入院して、そのまま亡くなる方が多く

お風呂が好きだった故人さまを

最後にゆっくりとお風呂に入れてあげたい。

 

最後は綺麗にして旅立たせてあげたいという

ご遺族の要望を受けて

湯灌はオプションのサービスとして取り入れられました。

 

ですから、最初はかなり高額のオプションで

その金額に驚いたのを覚えています。

 

しかし湯灌業者さんの専門的な技術が素晴らしく

お客様の評判も好評で、湯灌は現在、一般的に行われるようになりました。

 

この湯灌(ゆかん)を行う方のことを、

一般的に「納棺師」と呼ぶことが多いです。

 

湯灌とは…

亡くなった方の身体を清め

洗髪やひげそり、お化粧を行い、身支度を整え

棺にご遺体を納めるというのが、納棺師さんの仕事です。

 

まだ、生きているのでは?と思わせるほど綺麗にして下さいます。

 

ただし、納棺師の仕事はこれだけではありません。

 

人の身体は、亡くなると腐敗が始まります。

腐敗が始まると、鼻や口、目や耳…

穴という穴から体液が漏れ始めるのです。

 

この腐敗が死臭の原因です。

 

この体液が漏れ出さないように

あらゆる穴に綿の詰め込むのも、納棺師さんの仕事です。

 

私もそばで、その様子を見たことがありますが

こんな大量の綿が入るの?と

ビックリするほどの綿を、口や鼻に詰め込んでいました。

 

また、事故や自死など

ご遺体の損傷が激しい場合には、ご遺体の修復も行います。

 

決して、映画で見たような綺麗な仕事ではありません。

 

実は、私も納棺師にはとても興味があり

転職を考えたこともあるのですが…

当時は、転職する勇気がありませんでした。

納棺師さんは、だいたい2人~3人でチームになり

一緒に仕事をします。

 

ご遺体を持ち上げたり、お着換えをしますから

一人では無理ですし、体力も必要です。

 

この納棺師(湯灌師)さんが、納棺まで行ってくれて

なおかつ、本当に綺麗な姿にしてくださるので

私たち、葬祭ディレクターの仕事は、かなり楽になったと言えます。

 

もちろん、葬儀費用の問題などで

このオプションを付けないご遺族もいるわけですから

 

そういう場合は、担当の葬祭ディレクター

ご遺体を棺に納め、ドライアイスを当てます。

 

葬祭ディレクターが納棺を行うケースもあるということです。

 

専門の業者に外注している葬儀社もあれば

自社でスタッフを教育している葬儀社もありますから

 

納棺師(湯灌師)になりたいのか?

葬儀屋(葬祭ディレクター)でもいいのか?

 

ここは、初めにしっかり考えて決めておくべきだと思いますよ!

納棺師(おくりびと)になるには資格は必要?

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納棺師に資格は必要ありません。

国家試験などもありませんし、

どこからどこまでが納棺師の仕事という決まりもないのです。

 

納棺師という資格はありませんが

納棺師になるなら、

運転免許だけは持っていたほうがいいと思います。

 

納棺師は基本的に、一人で仕事をすることはありませんが

仕事の依頼があれば、式場やご自宅に出向いて

作業を行います。

 

いろんな場所に移動することを考えれば

免許がないと、誰かに頼らないといけなくなり

仕事自体に影響が出てしまいます。

 

普通自動車の免許さえ持っておけば

葬儀屋と同じく、ほとんどの場合が学歴や年齢も不問。

 

未経験でも、全く問題ありません。

 

加えるなら…

都内、地方関係なく求人募集は常に多く出ています。

 

経験者であれば、どこに行っても仕事がある!

ということです。

専門学校の費用は?

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2013年に納棺士育成機関「おくりびとアカデミー」という、

納棺師の専門学校が設立されています。

 

この学校では、約半年間

所作や宗教、衣装、メイク、遺体処置など

納棺師になるための知識と技術を習得し

修了者には、アカデミー認定の資格が与えられるそうです。

 

納棺師になるための半年分の学費は

¥1,200,000です。

 

授業が行われるのは東京都中央区ですから

都内在住の方でないと、厳しいと思います。

 

おくりびとアカデミー | 納棺士になるための学校

 

ちなみに、タレントの壇蜜さんが取得したことで話題になった

エンバーマーという仕事も納棺師によく似ていますが

こちらは、より専門的な職種になります。

 

「エンバーミング」とは、ご遺体を長期保存するための処置のことを言います。

日本ではまだ、一般的ではありませんし、認知度も低いのですが

海外では一般的なご遺体の処置方法です。

 

エンバーミングは、特殊な機械を使い

動脈から防腐剤を注入し、静脈から血液を排出するという方法で

ご遺体の防腐作業を行います。

 

例えば、海外で亡くなった場合

ご遺体を日本に連れて帰るわけですが

かなりの時間が掛かってしまいます。

 

通常の処置では、腐敗が進んでしまうので

エンバーミングで処置を行うのが一般的になっています。

 

エンバーミングの資格も国家資格ではなく

IFSA認定の資格です。

 

「IFSA」とは一般社団法人 日本遺体衛生保全協会のことで

ご遺体からの感染防御や

日本でのエンバーミングの適切な実施と普及を目的として作られた団体です。

 

エンバーマーの人材育成が出来るのは

神奈川県平塚市にある「日本ヒューマンセレモニー専門学校」

現在、日本ではここだけだと思います。

 

この専門学校では、約2年

一般教養から、葬祭学、遺体衛生保全、解剖学や病理学などを学び

実習も行われます。

 

エンバーマーになるための学費は

2年分でおよそ¥2,000,000

 

 日本ヒューマンセレモニー専門学校: ホーム

 

納棺師の方が、費用も安く、期間も短いですが

これだけの自己投資をするなら

納棺師よりも、エンバーマーの方がお勧めです。

 

しかし問題なのは、火葬が一般的な日本で

エンバーミングの需要が、どれほど伸びるのか?ということです。

 

とくに、日本の葬儀業界は

今、価格競争に陥っています。

 

葬儀の規模は縮小化していて

葬儀にお金をかけていた20年前とは、変わってしまいました。

 

そんな状況の中で

15万~20万円もの費用が発生する

エンバーミングの需要が伸びると思いますか?

 

おまけに、エンバーミングの技術を習得して

葬儀社に就職したとしても

エンバーマーの平均月収は20~30万円だそうです。

 

費用対効果を考えると…

私なら専門学校には絶対に進学しません。

 

納棺師になる一番の近道

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納棺師になりたいなら、就職するのが一番の近道です!

 

高い学費を払わなくても

現場で、仕事をしながら覚えればいいのです。

 

納棺師になるには

  • 納棺(湯灌)の専門業者に就職する
  • 葬儀社に就職する

この、どちらかが最短ルートです。

 

私のお勧めは、納棺の専門業者。

 

葬儀社に就職した場合、納棺師を希望したとしても

他の部署に配属されることもありますし

納棺師だけをずっとやれる保証はありません。

 

研修制度も、専門の業者の方が整っています。

 

納棺師になりたいのであれば

専門の業者に就職し、

研修期間もしっかりお給料を貰いながら

経験を積むというのが、一番賢い選択だと思います。

 

もし、納棺師という仕事だけに固執せず

葬儀全般について学びたいのであれば、

 

葬儀社に就職し、現場で経験をしながら

その後の道を探るという方法もあります。

 

現場での経験以上に、強いものはありませんよ!

 

私も、以前は納棺師やエンバーマーという仕事に興味を持ち

どうやったらなれるのかと、情報を探していました。

 

しかし、すでに葬儀の仕事に就いていましたから

この仕事を辞めて、一から勉強することには不安を感じました。

 

近くに学校がなかったのも

踏み出せなかった大きな理由です。

 

もう少し若かったら、挑戦していたかもしれません。

 

もし、あなたが納棺師になりたいという夢を持っているなら

とても素晴らしい仕事なので

ぜひ、挑戦してみてください!

 

あなたの夢が叶いますように!

 

最後までご覧頂き、ありがとうございました。

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