【体験談】葬儀屋は嫌われる?差別や偏見があるってほんと?
こんにちは!
田舎の葬儀屋です。
今回は、葬儀屋に対する
職業差別や偏見についてまとめたいと思います。
葬儀屋に就職したいと思っても
親から反対されたり
世間の目が気になるという方も多いようです。
私自身、葬儀屋になってから30年
差別や偏見を感じたことが、何度もありました。
実際に葬儀の仕事についた人は
どんな経験をしてきたのでしょうか?
差別や偏見の事例を知り
それでも、葬儀屋になる覚悟があるのか?
なぜ、葬儀屋になりたいのか?
入社してから後悔しないように
もう一度、自分に問いかけてみてください。
葬儀屋は嫌われる?
初めにお断りしておきますが
私は、30年間葬儀屋として働いてきて
葬儀屋は天職だと感じていますし
この仕事を誇りに思っています。
だからといって…
辞めたいと思ったことが一度もないとは言いません。
偏見や差別が原因ではなく
単純に、葬儀の依頼が爆発して辛かったからです。
私はどちらかと言うと
反対されればされるほど、燃えてしまうタイプなので
葬儀屋に向いていたのかもしれません。
葬儀の仕事をしていることについて
身内から直接、差別的な言葉を投げ掛けられた経験はありませんが…
初めて偏見を感じたのは
斎場(葬儀会館)の建設反対運動でした。
当時、勤務していた葬儀社が
新しい斎場の建設を予定していたのですが
その周辺に居住する方や自治体で反対運動がおこり
会社側は、説明会や話し合いでかなり大変だったようです。
周囲には反対運動の大きな看板が立てられたりして
その看板を見るたびに結構、凹みました。
住民側の反対意見も理解できないわけではありません。
- 葬儀会館の存在が死を連想させる
- 出棺に出くわすのが嫌
- 駐車場に多くの車が出入りをし、渋滞する
- 知らない人の往来が増えて不安
このような意見が多いようですが
自分の家の近くで葬儀が頻繁に行われるのが嫌なのだと思います。
出来るだけ、死の恐怖を遠ざけたいというのが本心では?
確かに、その斎場で参列者の多い葬儀があると
駐車場が混雑してしまうので、周辺の方には迷惑をかけてしまいます。
しかし。。
良く考えてみてください!
もし、身内に不幸があったら
近くに斎場があるって、凄く助かるんですけどね!
葬儀屋が嫌われる理由
昔、日本にも身分制度があり
穢多(えた)と呼ばれる階級が低い人達が
死体を扱う仕事をしていた時代がありました。
その名残で、「死を扱う仕事は身分が低い」
「身分が低いから死を扱う仕事しかできない」という
古い考え方があります。
とくに、年配の方はこの思考が強いようです。
これが葬儀屋が嫌われる大きな要因の一つです。
ほんの少し前まで、お葬式から自宅に帰ってきたら
玄関に入る前に、塩でお清めをしていませんでしたか?
実は、私も子供の頃にしていた記憶があります。
これは、お葬式=死=穢れ(けがれ)という思想があったからです。
映画「おくりびと」で主人公が、奥様から
「けがらわしい!さわらないで!」と言われるシーンがありました。
このシーン、私も凄くショックだったのを覚えています。
日本には、いまだに
死に対するネガティブなイメージが根強く残っているのが現実。
葬儀屋は遺体に触れる汚らわしい仕事。
死=穢れ
というイメージが
日本人の潜在意識に刷り込まれているので
このイメージを払拭するには、まだ時間が掛かるかもしれません。
職業差別
葬儀屋と同じように、遺体に触れる仕事は
実は、沢山あります。
その最たるが、医療関係ですよね!
では、なぜ医療関係の従事者は差別を受けないのか?
というより…
医療関係の仕事はもてはやされてるように感じます。
医師、検視官、看護師、などの医療従事者
もしくは警察官なども遺体に触れる仕事ですが。。
人を助ける、人を救う仕事というイメージが先行しています。
学歴や資格が必要です。
葬儀屋はといえば…
学歴も資格もいらない仕事。
さらに、深堀りすると。。
日本の葬儀費用が世界で一番高いと
問題になることが多いのですが…
葬儀費用が高い=葬儀屋は儲かる
という発想に繋がっているように感じます。
世間の人は
身分の低い、学歴もない葬儀屋が
人の死でお金を稼いでいるのが許せない。
のではないでしょうか?
実際は、葬儀屋なんて安月給なんですけどね~
学歴のある医師なら
どれだけ稼いでいても、当たり前だけど
学歴のない葬儀屋がお金を稼ぐのは、納得がいかない。
葬儀屋は底辺の仕事だと思われているということです。
葬儀屋に対する偏見
では、実際にどのような偏見があるのか?
体験談を集めてみました。
納棺に伺った先で、一旦空き地に車を停めたところ、
「葬儀の関係の車ですよね?不吉だからここに停めないで」
と言われたことがあります。
大学を出て、新卒で就職をきめたのが葬儀社でした。
両親に話すと、「せっかく大学までやったのに
葬儀屋になるなんて許さない。」
「親戚にも言えない」と大反対されました。
ずっと、付き合っている彼女がいて結婚も考えていたのですが
彼女からも反対され、結局は他の就職先に決めました。
葬儀屋だけでなく、僧侶の跡継ぎも学校でいじめにあった経験が多いと思います。
悪徳葬儀屋、悪徳坊主の子だと言われました。
でも、葬儀屋の父は深夜でも依頼の電話があれば、すぐに飛び起き
雨の中でも病院に走ります。私は父を尊敬しています。
葬儀屋は少し前まで、部落出身者と前科者の仕事だった。
今でも、普通の女の子の仕事ではない。
将来、後悔するよ、と言われました。
お見合いは出来なくなるし、大きな企業に就職する時には
前職を理由に不採用になるリスクもあると…聞きましたが
実際に就職して、そんなことは全くないと感じています。
差別なんて、もう古いと思います。
年配の方も沢山、働いていますし
仕事で差別されたという話は、聞いたことがありません。
葬儀屋になって、かれこれ15年目。
5年目までは苦労の連続でした。割り切りも必要です。
ある意味、生きている人間のほうが怖いと思います。
都内のセレモニーのバイトは日給制が多く
大学生も多いし20代にとっては、割のいいバイトです。
差別された経験はありません。
葬儀関係の人が社会的に嫌われてきたのは
差別的な問題だけじゃなくて
死を商売にして、ぼったくっていた葬儀社があったからです。
職業柄、学歴が低いとか、家庭の事情が複雑と思われることが多い。
昔は、料金が分かりやすく提示されていなかったので
確かに悪徳葬儀社もあったようですが
最近は、小規模の葬儀が急増していて
価格競争が激しく、葬儀社も大変なご時世です。
悪いことしてたら、やっていけないと思います。
差別に古いは存在しない。
数十年で日本人の差別意識はなくなりません。
表面上、言わないだけです。
直接、差別的な 言葉を掛けられた経験はなくても
「大変な仕事ですね…」と言われたことはあります。
今でこそ、葬儀の仕事をしていると堂々と言いますが
初めの頃は、自分から言わないようにしていました。
葬儀の仕事をしていると言えば
周りの人が不快な気分になるかも…という気持ちが
心の中にあったのも事実です。
実際に、葬儀社で働いていて
差別を受けた人もいれば、全く受けたことがないという方もいます。
地方や都心など、住んでいる地域によって
状況は違ってくると思いますが
偏見や差別は今も存在すると考えていたほうが良さそうです。
面接で必ず聞かれること
調べてみると、入社の面接の際
必ず聞かれる質問がありました。
- 家族が反対していないか?
- 葬儀の仕事に抵抗感はないか?
- ご遺体に接することに抵抗はないか?
という質問です。
とくに、家族の反対については
葬儀社側も気を使っているのが分かります。
葬儀屋が嫌われる仕事だという事実は
葬儀屋自身が、一番分かってるといっていいでしょう。
葬儀屋は、憧れだけで続けられる仕事ではないということです。
偏見や差別があると理解したうえで
どんな葬儀屋になりたいのか?
なぜ、葬儀屋になりたいのか?
もう一度、じっくり考えたうえで
覚悟をもって、葬儀業界に飛び込むのであれば
やりがいのある、いい仕事だと思いますよ。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。